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【住宅ローンの概要(chapter 4)】
   
  住宅ローンの注意点
   
 
  <項目>  
  1)借りられるお金=返せるお金ではない → GO
  2)ボーナス返済 → GO
  3)金利適用時期 → GO
  4)ローン審査 → GO
  5)ローン特約 → GO
  6)団体信用生命保険 → GO
  7)火災保険 → GO
  8)共有 → GO

 
  1)借りられるお金=返せるお金ではない
   
 

資金計画」でもお話ししましたが、一般に月々の返済額を月収の25%ぐらいまでに収めることが、健全に返済可能な融資額の目安となります。

実際は物件の購入価格だけでなく諸経費も含めて融資が受けられるというケースも珍しくはないのですが、余程収入の多い方でないと家計の負担が重く、いわゆる借りられるけれど返せないとなってしまう予備軍ではないかと思います。
「家賃並みの返済」という常套句も、低金利の現在は家賃並みであっても、金利が上がれば果たしてどうなるかは分かりません。

金融機関は融資の対象である住宅を担保に取りますし、住宅の購入者は折角購入した住宅を手放すことのないよう、住宅ローンは頑張って返済することを知っているので安心して融資を行いますが、当然のことながらお金を返すことは手伝ってくれません。

自分が安全に返せる金額は、他人任せでは無く自分で把握するという考え方が住宅ローンを検討するうえで最も大切なことだと思います。

   
 
  2)ボーナス返済
   
 

住宅ローンでは借入金の50%(公庫は40%)までであれば、月々の返済ではなくボーナスで返済することができます。
ボーナス返済を利用すると月々の返済額が軽減されるので、サラリーマン世帯では広く利用されてきた方法ですが、昨今はボーナスが長期に渡り安定的に支給されるかが分からないため、ボーナス返済のウエイトを軽くする傾向が目立つようになりました。

ボーナス返済を行う月は、毎月の返済に加えボーナス分を返済することになりますので、ボーナス返済する額は万が一ボーナスが大幅に減額された場合でも返済が可能な範囲にとどめておくことが賢明です。

 
借り入れ3,000万円(うちボーナス返済は600万円=2割)、
35年ローン、3.2%固定金利、 元利金等払い、ボーナス返済年2回 の場合
   
 
1.月額返済額
95,040円
2.ボーナス返済
143,106円
ボーナス返済月の支払い 1+2
238,146円

仮にボーナスが減額したときに、ボーナス返済月の約24万円が返済できるかどうかが検討の目安となります。

<参考>
同じ条件でボーナス返済が無い場合
118,829円
   
 
  3)金利適用時期
   
 

建築中の物件を購入する場合などローン契約を結んでから融資が実行されるまで時間がかかることがあります。

気をつけなくてはいけないのは、民間ローン(フラット35を含む)で適用される金利は、契約時ではなく融資実行時のものが利用されるということです。つまり契約時から融資実行時まの間に金利の上昇があったとすると、適用金利も上昇し予定していた返済計画が変わってきてしまうということになります。

ただ気をつけるといっても、将来の正確な金利動向など誰もわかりませんので、自衛手段としては、契約から融資実行まで時間がかかるときは、ある程度の金利上昇があった場合の返済額の増加分を予め試算し、それでも支払いが可能かを判断したうえで資金計画たてるということしかありません。

尚、住宅金融公庫と財形住宅融資は申し込み時(審査が下りた時)の金利が適用されますので、金利上昇局面ではリスク回避が可能です(逆に金利下降局面ではメリットが受けられません)。

   
 
  4)ローン審査
   
  住宅ローンを申し込むと金融機関による審査があり、審査通過後ローン契約となります。
審査は借り入れに対し適正な収入があるかに始まり、購入する住宅の担保価値や過去の借入履歴が調べられます。
過去に借入金の滞納があったり消費者金融からの借り入れがあると審査が通らないことがあるほか、車のローンなど別の借り入れがある場合はその分融資可能額が少なくなります。また審査期間中にキャッシングサービスを利用することはタブーとされているほか、金融機関によってはクレジットカードの信用枠を既存の借り入れとみなすことがあるようですので新規でクレジットカードを作ったりするのも避けるべき事柄です。

尚、ローン審査については、事前審査を活用し融資の可否の感触をつかむことができますので、事前審査の状況が厳しそうな場合には不動産会社の提携ローンの活用等を予め打ち合わせしておくことも必要です(但し、事前審査はその申し込み自体が金融機関の信用データに蓄積されますので、あまり闇雲に色々な銀行で行うことは好ましくないとされていますのでご注意下さい)。
   
 
  5)ローン特約
   
  住宅ローンの正式な申し込みは住宅の売買契約を結んだ後に行いますので、万が一住宅ローンが下りないと、購入者は売買代金が支払えず契約義務を履行することができなくなります。

本来、買主側の理由で売買契約を解約するとなると、契約時に支払った手付金を放棄するか、場合によっては契約書に定める損害賠償金を支払うことになりますが、住宅ローンに関しては「住宅ローン特約」という条項を入れて買主保護を図るのが一般的です。
これは一定期間内に予定していた住宅ローンが受けられない場合には、買主は売買契約を白紙解除できるというもので、手付金や申込金など支払い済みのお金も返還されるという内容になります(契約書に貼付する印紙代等は戻りません)。

このローン特約には、予定している金融機関をはじめ、融資額、融資条件、回答の期限等を具体的に記載することが大切です。
単に「融資が受けられない場合は・・」という様に曖昧な記載にしておくと、自分の希望する条件の住宅ローンは通らなくても、他の条件の劣る融資(審査は通りやすい)を斡旋され契約しなくてはならなくなる恐れがあります。
またローン申込者の不手際(ローンの申し込みの遅れ、虚偽の申し込み、書類不備等)により融資が受けられない場合は、原則としてローン特約が適用されませんので注意が必要です。

→ 「売買契約書について
   
 
  6)団体信用生命保険(団信)
 
  住宅ローン返済中に、ローン申込者に死亡や高度障害など万が一のことがあった場合、残された家族が高額なローンを引き継ぐことは困難なケースが多いと思われます。

団信とは、その様な事態になった時に住宅ローンを本人に代わり生命保険会社が一括で支払い住宅ローンを完済させるもので、民間ローンでは住宅ローンに付随して団信への加入が義務づけられています(申込者が金融機関、被保険者がローン返済する人となり、通常掛金はローン金利に含まれているため不要です)。

但し、団信は生命保険の一種ですので、健康状態(既往の病気や過去の通院・治療歴等)の告知が必要となります。 団信といえば住宅ローン手続きのおまけのように考えられがちですが、仮に保険会社から団信加入を認められない場合には、ローン契約は出来ませんし、告知義務違反などが判明すると肝心なときに保険金が支払われないということもありますので申告は正しく行っておくことが必要です。

尚、住宅金融公庫やフラット35では団信加入が任意となっていますが、上記主旨を踏まえると加入しておいた方が良いと思われます。公庫・フラット35の場合は借り入れ100万円当たり2,830円が掛金となり、毎年支払いが発生しますが、掛金は残高に対してかかるため支払額は年々減っていきます。
 
 
  7)火災保険
   
  住宅ローンでは住宅が火災により滅失したときに備え、公・民のローンを問わず火災保険への加入が義務づけられています。
住宅金融公庫を利用する場合は、民間よりも割安な火災保険が利用でき、公庫と民間融資を併用するときは、公庫にて火災保険に加入すれば民間は加入しなくても良いということになっています。

保険料はローン期間一括で加入した方が割安ですが、30年以上の保険期間となると数十万円単位の金額にもなりますので、金融機関や保険会社と相談の上、もっと短い期間の保険に加入して更新をしていくことも検討可能です(保険期間10年で15万円前後が目安となります)。
また保険価額は時価ではなく再調達価格(新しく建物を建設可能な保険金額、5年以上の保険期間の場合、価格協定特約が必要)とする方が万が一の時には安心ですし一般的になりつつあります。

尚、通常の火災保険では地震による火災は保険対象外となりますので、地震による火災に備える場合には別に地震特約をつける必要があります(地震特約の保険金は、火災保険の保険金の30〜50%の範囲となり、5年毎の更新となります)。
 
 
  8)共有
   
 

購入した土地や建物を夫婦など複数で所有することをいいます。
代表的な例は、住宅の購入費用(諸費用を含む)を夫婦でそれぞれ負担する様なケースで、この場合はそれぞれが拠出したお金の割合で持分を所有する必要があります(例えば3000万円の住宅に対し、夫2,000万円(頭金と住宅ローン)、妻1,000万円( 同 )を負担する場合には、住宅の持分は夫2/3、妻1/3となります)。

一方、手付金等をすべて夫が負担し、住宅ローンも夫単独の名義で借りている場合などは、夫婦共有名義にすると、夫から妻に対する贈与と見なされ、贈与税が課税される恐れがあります。

基本的な考え方は、例え夫婦や親子といった近い関係であっても、金銭の負担は持分の保有に正確に反映させる必要があるということで、二人で負担しあったのに一人の名義にしたり、逆に一人が負担しているのに二人の共有名義にするなど、負担と持分の整合性がとれていない場合には、相手方に対する贈与と見なされる恐れがあります。
尚、夫名義の口座に夫婦で住宅取得資金を貯めていた場合などは、二人の収入割合などを基準に、持分に反映させることが可能です。

<共有のポイント>
ア. 夫婦をはじめ複数の人で住宅購入資金を出し合った場合は、その負担割合で各々住宅の持分を取得します。
この場合、トータルの持分が正しければ、土地と建物の持分比率は異なっていても良いですが、双方が各々住宅ローンを組む場合は建物には双方の持分が必要となります(土地だけでは原則住宅ローンが組めないため)。
   
イ. 住宅ローンを夫と妻でそれぞれ組む場合は、それぞれ組んだローン金額の割合で共有持分を持ち、それぞれが住宅ローン控除を受けることができます(ローン期間の条件等あり)。
但し、将来どちらかが仕事を辞め収入がなくなったときに、もう一人が肩代わりをすると贈与とみなされることがありますので、将来の収入見通しを考えておく必要があります。

→ 「不動産保有時にかかる税金(住宅ローン控除)」
   
ウ. 収入合算により住宅ローンを組んだ場合も、合算する収入の割合で各々の共有持分を決めますが、連帯債務者(※)になる場合は双方が住宅ローン控除を受けることができるのに対し、連帯保証人(※)になる場合はローン名義人しか住宅ローン控除を受けることができません。
公庫融資で収入合算をした場合は連帯債務者となりますが、民間金融機関では連帯保証人方式が主流です。


「連帯債務者」
金融機関等に対し債務者がそれぞれ独立して債務全額を返済する責任を負うもので、住宅ローンの場合は借入額全額に対し各々が返済責任を負います。

「連帯保証人」
住宅ローンの場合では、ローン名義人が返済を履行できない場合に、名義人に代わって返済をする義務を負います。
   
エ. 住宅を処分するときは双方の同意が必要となります(持分のみの売却は不可)
   
オ. 持分は現時点での負担割合で決定するため、夫単独でローンを組み、将来妻がパートのお金で補助をするというような場合でも、共有名義にはできません(最初から贈与認定を受け、贈与税を支払えば可能です)
   
カ. 住宅購入後、税務署より贈与税の申告漏れを調べるために、住宅資金出所についての問い合わせが届くことがあります。
何もごまかすことが無ければ特に心配する必要はありませんので、住宅取得資金の出所については、「名目」、「誰が」、「いくら」、「どのような出自のお金を」、「いつ」、「どのような方法で」、「誰に」支払ったかを整理しておくようにします。

例)
手付金 - 妻 - 200万円 - 郵便貯金 - ○月○日振込 - △△不動産宛
   
キ. 共有を予定している際は、融資の条件が変わったり、予期せぬ贈与認定を受けることを避けるため、予め金融機関や税務署に確認を行っておくことが大切です。